ホワイトな保育園が出来るまで

ブラックだ、過酷だと言われる保育業界。ホワイトな保育園は実現不可能なのか?会計や労務を踏まえ、現場の裏話も交えつつ記載していきます。

保育園を続けるためのお金

保育園を作るにあたって、必要なお金は大きくわけて2つある。

*園を建てるのためのお金

*園の継続のためのお金(収入)

前回はそのうち、【園を建てるためのお金】についてざっくり書いた。sakura-mirai.hatenablog.com

今回は、【園の継続のためのお金(収入)】について記載する。 

 

まず、一般的に事業はモノを売る(またはサービスを提供する)ことでお金を得るが、保育は少し性質が異なっている。

当然に、保育(サービス)を提供して保育料(お金)を得るという側面もあるが、認可園は【保護者(消費者)は世帯所得に応じた保育料を自治体に支払う】仕組みになっている。

そして園側は自治体から、【補助金】が割り当てられ、その中で園を運営していくことになる。

(認可外の場合は、各家庭から徴収した保育料だけで賄う=自治体から予算がつかないため、保護者が支払う保育料が高くなることが多い。)

補助金に関しては、様々な視点から園児1人あたりの基礎額が算定されており、それに各種加算が設定されていることが多い。

 

当園は認可外園だが【企業主導型保育事業】という制度により、内閣府から補助金を受けて運営をしている。

認可園と同程度(認可園のおよそ9割くらい)の補助を受ける分、保護者から徴収する保育料は高額にしてはいけないというスタイルなので、概ね認可園に近い状況だ。

地域などで基準額が異なるので、あくまでも当園の場合で参考の話だが、園児10名(※)の状況で1ヶ月あたりの収入は220万円くらいだ。

※定員は最大12名だが、地域ニーズに応じて低年齢の児の受け入れを増やす調整をしているため、現状は10名で最大値となっている。

 

この中から、大きく分けて3つのお金を分配する。

1.直接園児が使うもののお金(給食代、玩具代、保護者負担以外の教材費、設備代、予備服など)

2.園児も職員も使うもののお金(光熱費、賠償保険など)

3.職員のためのお金(お給料、備品や機器類など)

 

補助額の決定権が行政側にある以上、予算は絶対。

言い方は悪いが予算の範囲内で1~3で奪い合い、という仕組みになっている以上、1も2も3もギリギリのところで頑張るしかなくなり、経営努力だけでは保育士の賃金を上げたくても上げられないという実態もあるのが現実である。(経営陣が大幅に持って行ってしまっている場合は除く)

行政サイドでどういった根拠から算出しているかが明確にはわからないが、仮に保育士の賃金相場がそもそもとして算出の要素になっているとすると、卵が先か鶏が先かではないが、相場が上がらない→補助額が上がらない→賃金を上げられない→相場が上がらないという無限ループになるのである。

とはいえ行政批判がしたいわけではない。保育士の待遇が社会的にも課題として取り上げられるようになったことで、昨年から処遇改善加算という加算補助が設けられるなど、行政側でも保育士の待遇改善に動いてくれている面もあるのだ。

 

支出に関しては別記事でまとめるが、当園では1ヶ月平均30万円くらいのマイナスが生じている。

大きな理由は3点。

・開園間もないため、大型の支出が続いてしまう時期であること

・地域割合で国が予算を低く分配している地域に園を設置しているが、保育士の待遇はあまり下げていない(両隣の市はもう少し予算のつく地域で、通勤圏内により大きな都市=更に予算のつく地域があり、そういった地域と保育士の取り合いをする以上は給与水準を下げないという選択をした)こと

・地代が国の分配予算よりも大幅に超えてしまっている(国からは地代も安い地域と認定されているが、人口増の新興住宅街で、かつ事業用物件が少ないことで、テナントの地代は地域の割りに高くなってしまっている)こと

どれも開園前からの想定内なので、マイナスであること自体は悲観する必要はない。

ただ、マイナスが続いている期間、そのお金は事業者側の手出しになるため、園の建設のためのお金と併せて、かなりの額のお金を準備しておかないと保育園は作れない!ということになる。

 

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