写真がもたらす保育現場改善3つの効果
今月からポツポツと開始している、保育写真の新たな試みが早くも効果が出ている。
従来の【保育中の園児写真】は、保育従事者が合間に携帯で撮影をしていたが、一眼レフを用意し、事務スタッフ(=保育に直接介入しない職員)を新規雇用して庶務の傍らで撮影も担ってもらうことにしたのだ。
1.「できていない」という心理負担が減る
最も効果的な変化は、外遊びの写真。
当園には園庭がないため、外遊びは近隣の公園を使っている。
園庭であれば、外周に完全に柵があったり、植栽や遊具も園児に適した環境が整えられる。しかし公園では、すぐ横が道路だったり、低い位置に枝のある植栽やロープ、岩などの危険箇所がどうしても存在する。
そのため、安全管理をしながら保育を行いつつ、写真も撮影するというのは非常に困難になってしまう。
困難な中でまで、無理矢理にでも写真を撮れとは言っていないが、やはり保育士の心理的には『せっかくの場面を残してあげられない』『保護者に様子を見せてあげられない』という葛藤が残り続けるのも現実だ。
気にしなくていいとどれだけ伝えても、『出来ていない』と感じてしまうことが積み上がることは、自信低下や仕事へのモチベーション低下をもたらすと感じているので、1つでもそういった要因がなくせることは重要だ。
2. 文章作成の負担が減る
室内遊びでも、変化がもたらした影響は大きい。
友達との関わりも少しずつ増えてくる2歳児達も、まだまだ保育士の仲立ちが必要なことが多く、目が離せない。どれだけ仲良くしているワンシーンでも、ふとした行き違いから一瞬で着火し、手や足が出てしまうことも少なくないからだ。
玩具を持って転倒したり、予想外の行動をしたりということもあるので、やはり室内でも撮影だけに集中するということは難しいし、粘土遊びなど保育士も一緒に活動をしている場合には物理的に撮影が出来ない。
そのため、保護者に1日の様子を伝えたいという思いは連絡帳(=文字)に込めることになり、限られた時間の中での文章作成(ありありと思い浮かぶように表現しつつ長くなりすぎない文章だとか、1日のエピソードの取捨選択など)に苦戦する様子が見られていた。
今回の変化により、子ども達の生き生きとした活動場面を安全に捉えられる機会が増え、その日の活動の様子の多くを写真で効果的に伝えられるようになった。
これにより、写真の補足となるような背景エピソードや、写真には無い場面で伝えておきたいエピソードを書くなど、連絡帳の文章作成における負担も減るといえる。
3. 保護者が喜ぶ
『楽しく通えているのだろうか』『お友達と仲良く遊んでいるのだろうか』『先生とどんな風に過ごしているのだろうか』そんな思いは、多かれ少なかれ保護者として抱くだろうし、特に子ども自身との言語でのコミュニケーションが難しいうちは顕著だろう。
保育士も前述のような連絡帳での努力のほか、送迎時にもなるべくコミュニケーションを取るようにしているが、それ以外の児の安全管理も必要だったり、保護者側も急いでいたりと、どうしてもしっかりと話し込むことは難しい場合が多い。
そのため、子ども達の様子が最も効果的に伝わるという点でも、写真は非常に重要になってくる。保護者とも互いに気持ちよく関わっていくには、不安や気がかりは少ない方が良好な関係性を作りやすいため、より安心してもらえる役割を写真が担ってくれることは大きいだろう。
そして、同じ写真でも、やはり携帯のカメラでの1枚と一眼レフでの1枚は表現できる雰囲気が格段に変わることを実感している。
保育園という性質上、保護者も仕事と育児の両立で忙しい人も多く、朝晩や休日もバタバタしてなかなか子どもの日常写真を残せない、残せても携帯でパチリということが多いかもしれない。子どもの今しか無い瞬間を残しておきたいという思いは、我々以上に保護者も抱きながらも、残せていないと感じる場面があるのではないか。
まだ3日ほどの導入の段階で、多くの保護者から「素敵な写真がいっぱい」と反響が大きく、購入が増えている様子に、そんなことも感じた。
おわりに
1つ1つは小さな変化かもしれないが、保育現場をより良くするには、抜本的な労働環境の改善だけでなく、同時にこういったことの積み上げも大切だと考えている。
そして、【ちゃんとした写真は行事のとき】というような先入観が自分にあったこと、その先入観を取っ払うことで変えられた部分があったことで、まだ気付いていない思い込みや、それによって生じている課題があるのだろうなと痛感もしている。
ちなみに、今回の変化のきっかけとなったのは、佐賀県のフォトスタジオ【ハレノヒ】さんとの偶然のご縁。
最高に素敵なフォトスタジオなのはもちろん、事業理念、行動力や想いなど、尊敬してやまない企業だ。ぜひ一度訪れてみてほしい。
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