ホワイトな保育園が出来るまで

ブラックだ、過酷だと言われる保育業界。ホワイトな保育園は実現不可能なのか?会計や労務を踏まえ、現場の裏話も交えつつ記載していきます。

気持ちはお金を添えて見える化する

当園には臨時勤務加算という制度がある。

これは、所定労働時間内の勤務であっても、事前に提示したシフトから変更が生じている場合に、当該時間に関しては時間単価×0.25倍額の手当を追加で支払うというものだ。

残業代(時間外手当)は1.25倍の賃金支給のため、この0.25倍部分を、残業(時間外)に該当しない場合も加算しようということである。

そもそもとして、当園では残業がないように運営している、というのは以前記載したとおり。

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それでも、急な保護者の都合や他の職員の都合により、どうしても勤務時間のスライド調整(30分早く出勤して30分早く帰るなど)や、当初のシフトからの変更(1日出勤を半日出勤×2日に変更)など、【予定が変更になる】ケースが稀に存在する。

この場合【労働時間】は同一になるように調整をすることは、長時間労働(残業や休日出勤)の常態化を防ぐために必須としているが、【だから残業代はいらないね】で終わりにするのは、なんとなく個人的にもやっとするのだ。

 

というのも、シフト希望提出時には、公的な行事など以外はなるべく仕事を優先し、シフトが確定してから個人の予定を入れるような協力を全員がしてくれている。

その状況で、確定したシフトから更に変更がかかるというのは、個人の予定の再調整も余儀なくされるケースが多いと言える。

具体的な用事の有無に関わらず、「早出になる⇒起きる時間を早める必要が生じる⇒その分早く寝ておこう⇒前夜にやっておきたい家事の一部ができない」など、ちょっとした日常のサイクルの変更も発生してしまう。そして特に子育て中は、日常のサイクルの変動は大きな負担となることも少なくないので、子育てと仕事の両立への支援をしたいという面でも、こういった負担は無視できない。

 

以上から、例え労働時間は同一だとしても、個人の時間にしわ寄せの起きる事象があるのであれば、その協力に対しての感謝はお金で見える化をしよう、と考えている次第だ。

おそらくどの職員も追加でお金が払われなくとも、臨時の勤務調整に協力してくれるだろう。しかし、現実的に負担が発生する以上、1回1回は小さな負担感であっても、積み上げによって「仕事がつらい」となる可能性も否めないだろう。

お金が全てではないが、労働の対価として給与を受け取り、それによって生活や様々な活動をするという社会の仕組みがある以上、労働に関して事業者側の都合により発生している負担に対しては、少しでもお金で還元して、勤務調整への感謝は具体的に見える化をしたいと考えている。

 

また、もう1つの観点として、調整をお願いする側の負担も少しでも減らしたい気持ちもある。

かつて、子の病気で急な欠勤になった保育士が「申し訳ありません」と休み明けに立派な菓子折りを持参したことがあり、衝撃を受けた。

子の病気は誰のせいでもないし、幼少期にそういうケースが多くあるのは当然のこと。子の看病期間も大変な中、病み上がりにわざわざ菓子折りを買いに行く負担も、欠勤分はお給料も減ってしまうにもかかわらず、さらに菓子折り台を負担する金銭的な負担も、どれも、する必要は全くないと考えている。

事情を聞くと「前の園ではそういうルールだったので」というのでさらに驚いた。こういったことを慣習にすると、お互いに気を遣いあって疲弊してしまう。もし保育業界あるあるなのだとしたら、そんなあるあるは無くなってほしい。

かりに臨時勤務で負担がかかる職員が発生する場合、その対価は事業所が払うのだから、個人で必要以上に心理的にも金銭的にも負担を負わないようにしているとも説明を改めて行い、もし他の職員に申し訳ないとか感謝してくれるなら、その気持ちは菓子折りにせず、覚えておいて、次の誰かの時に「お互い様」と快く引き受けてくれればとお願いしている。

 

仮に時間単価が1200円として、30分の調整が発生した場合、臨時勤務加算は150円。「助かった、ありがとう!」とちょっと飲み物やお菓子など添えるような感覚だ。

勤務調整をしてくれる人の負担感を150円だけで解消できるとは思っていないし、お金が全てでもないが、それでも何もないよりは、少額でも手当がつく方が少しは気持ちも救われるのではと思っている。

もちろん、加算を払うんだからいいだろう、ではなく、感謝の気持ちは気持ちとしてしっかりと持ち続け、職員が気持ちよく働ける環境作りを心掛けていきたい。

  

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