ホワイトな保育園が出来るまで

ブラックだ、過酷だと言われる保育業界。ホワイトな保育園は実現不可能なのか?会計や労務を踏まえ、現場の裏話も交えつつ記載していきます。

保育園勤務で副業をOKにする4つの理由

保育園のお金の話と、労務の話の双方に関係があるのが【当園では副業を明示的にOKとしている】点だ。これは保育士に限らず、調理員も事務庶務も全員である。

当然に、雇用契約上の所定労働時間や所定労働日数はきちんと守ってもらう(その勤務に影響のないように、副業を含めたプライベートの管理をしてもらう)ことは前提であるが、副業をすること自体への制約はなく、それこそ、同業他社(別の保育園)で勤務をするのも規制していない。

 

1.技能(知識)の向上

保育も、調理も、事務庶務も、業務量をこなすほどに技能(知識)が向上する可能性がある。また、当園以外のスタイルに触れることで、より新たなアイディアや取り組みを行える可能性もあるため、他社で勤務をしたり、自営業(個人活動)をしたりすることにもメリットがあると考えている。

 

2.禁止する理由がない

副業を禁止するケースで多い理由としては、情報漏えい、ライバル社に負ける可能性、引き抜き(人材の確保)などの面があるだろう。

・情報漏えい:当園のやり方が他社に知られることは困ることか?困らない。いいと感じることは同業でも異業種でも、どんどん取り入れていってほしい。個人情報に関することは、副業をするしないに関わらず他言禁止の守秘義務があるため、その漏えい防止などという理由も成り立たない。

・ライバル社に負ける可能性:立場上【認可園がいい】【認可外は危ない】などの見られ方もするし、他園に対してライバルという感覚もない。それぞれの園に特徴があり、当園は当園が目指す【子どもに寄り添った保育】をするにあたり「〇〇に負けないように!」という軸も持ってない。待機児童問題が解消し、どこの園も定員割れをする時代が来て、当園が選ばれなくなるのであれば、それはそれでいいと思っている。誤解のないように、これは保育に対しての熱意が足りないとかでは決してなく、そもそも国の制度を活用している以上、いつ何時『待機児童問題が解消したので、企業主導型の予算を下げます(なくします)』と言われるかわからない、そうなったらそうなっただ。というような覚悟は持った上で開園をしているという話だ。

・引き抜き(人材の確保):職員が当園よりも他の方がいいなぁと思う可能性に関しては、副業をしても、しなくても、起こりえること。副業を禁止したところで意味がなく、他に行かせないような対策に力を入れるよりは、当園に居続けたくなるような努力をしたい。園の方針や価値観とマッチする人材が、より能力を発揮できる環境を作って行ければと思う。

 

3.【仕事】の線引きの曖昧化

副業が【本業以外の仕事】を指すとして、ではどこまでが個人の趣味の延長で、どこからが仕事か?という線引きは次第に難しい時代になっていると感じている。

少し前までは、休日に公園のフリマでハンドメイドを売るのは個人の趣味の延長だったかもしれない。では個人もネット販売がしやすくなった今、ネットでハンドメイド雑貨を売るのはどうなのか?

かつては、友人のお店をちょっと手伝うのは個人の生活の延長(交友関係の一部)だったかもしれない。では今、ネットで知り合った人にイラストや楽曲の提供をして対価を得る場合はどうなのか?

ゲームで遊ぶのは個人の趣味、YouTubeで何かを発信するのも個人の趣味、ではその趣味が掛け合わさり、話題を呼ぶ場合は?

ポイントサイトのお小遣い稼ぎ、ブログのアフィリエイトクラウドファンディング、など活動の範囲も内容も多種多様だ。

収入を1円でも得たら仕事?定期的な収入になっていれば仕事?利益が出ていれば仕事?税務署に申告が必要なら仕事?お金じゃないもので対価を得ている場合は?

こう考えると、会社に勤める以外の選択肢を選びやすくなり、自分の能力(労働)を提供して対価を得るという活動を、個人も気軽にいつでもやりやすくなっている時代において、どこからが仕事だという線引きは非常に難しくなっているとも感じている。

あらゆる活動を網羅的に検証して可否を決めることは出来ないと思っており、当園と労働者との間における雇用契約に違反が無い限りは、その他の経済活動の全てを個人の自由として認める方が、合理的ではないだろうか。

 

4.生活の保障が出来ないという現実

以前記載したとおり、保育園の財政状況は非常に苦しい。

sakura-mirai.hatenablog.com

そこを脱する努力をするつもりがどれだけ私にあっても、現実的な面では【昇給や賞与で職員に還元できる限界】はとっくに見えており、それで十分な生活の保障が出来るかと問われると、答えはNOだ。

 あげく、残業をしない環境を徹底するのだから、従業員としても残業代で稼ぐなども出来ない。

保育士のみならず、調理員にしても、補助員にしても、制度上の制約もあり、シフトに入れてあげられる限界もある。

こういった状況下において、休みの日に他の園でバイトしようとか、隙間時間に何かを自分で作ってネットで販売しようとか、職員が自ら収入源を増やすことを、どうして禁止できようか。

子どもが好き、社会の役に立ちたい、そんな想いで職員が頑張ってくれていることも事実だが、同時に、それぞれにも生活や叶えたいこと、やりたいことがあり、お金がないと実現出来ないことが多いのも現実だ。

 

ということで、当園は開園時から就業規則でも明示的に副業を認めている。

子育て中の職員ばかりなので、実際に今、副業をガッツリしている者はいないと思うが、今後、職員の人生における選択肢の幅が広がることになれば嬉しい。

ちなみに、私はバリバリに副業をしている。収入増だけでなく、得られる知識や経験も大きく、それが本業に生きることもあるので、メリットもたくさんある。

一方で、スケジュール調整や優先度で悩むこともある。不可抗力の突発的事象が1つでも起きると、全てに影響もするため、無理をしないといけない場面もあり、やはり心身への負担は本業だけよりも大きい。このあたりは副業先の理解のおかげで色々と成り立っているので、感謝しかない。

  

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