ホワイトな保育園が出来るまで

ブラックだ、過酷だと言われる保育業界。ホワイトな保育園は実現不可能なのか?会計や労務を踏まえ、現場の裏話も交えつつ記載していきます。

【ちょいすけ】性善説で支え合いたい

【ちょいすけ】の概要は下記リンク参照ください。

sakura-mirai.hatenablog.com

 

このサービスは、基本的に性善説に基づくことにしました。

他者の生活に介入することは、様々なリスクもあります。特に子供が関係する内容は、急変リスクが高かったり、安全管理面での課題などもついて回ります。

そこで、【ちょいすけ】では基本的に保護者は同伴のサービス内容とし、あくまでも親子の側でお手伝いをするという位置づけにすることで、事前〇〇や××保険加入などのハードルをなるべく無くしました。

また、無償提供となると、サービスを悪用される可能性もあるかと思いますが、そこを慎重にしていくとなると、様々なハードルが生じてしまい、育児で疲弊している人が手軽に使いにくくなってしまうと考え、あえてボランティアでの実現としました。

 

*事前登録、事前面談などの排除

乳幼児を連れて何度も窓口に通ったり、たくさんの書類を揃えたりというのは、かなり負担が大きいです。

私自身、図書館の貸し出しカード登録すら、上の子の「ママ、トイレ!」に始まり、慌ててトイレを終えたと思えば、下の子のイヤイヤモードが急に炸裂し、登録できず逃げるように帰宅したこともあります。

そのため、【ちょいすけ】は事前の登録や事前の面談は行わず、気軽に「助けて!」と言えるようにしました。(双方が直接お会いするサービス内容の場合には、簡易登録として身分証の写メを撮らせていただきます。)

 

*費用は無料、お気持ちはペイ・フォワード式で

育児中は収入も制限されてしまう傾向にあり、費用のことを考えると「我慢しよう」とか「自力で頑張らないと」とか無理をしてしまいがちです。そのため、原則として無料でご利用いただけるサービスとしました。

ただ、私自身の稼働に対しては対価はいただかないとしても、移動費や受入れ施設関係の維持費などジワジワと支出があるのも現実です。

そこで、もしお金を払えるという方には、自分の利用料というよりも、「次の困っている子育て世帯へ」気持ちを送るペイ・フォワードでお願いします。

お金だけでなく「サイズアウトして余っている新品の紙おむつで」とか「数回しか着ていない綺麗な服で」「あまり遊ばなかった玩具で」など物品の寄付もOK。

「昔の子育て中に奥さんに協力できなかったのを悔やんでいて、今の子育て世帯の役に立ちたい」という寄付や、「息子夫婦の力になりたいけれど、直接行くと逆に気を遣わせるからこれで」というプレゼント式、「あの時は余裕がなかったけど、落ち着いて収入も増えたので」と少し先の未来にいただくなど、様々な形でのお気持ち、ご支援も大歓迎です!

 

※寄付の受付方法は急ピッチで整備中です。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

*ゆるい支援の輪を広げたい

おさがりを回したり、相互援助をしたりというのは親族間やママ友(パパ友)同士に育児サークルなどの間でも行われていることも多いかと思います。

普段から関係性があることで、より親しくいられること、孤独に感じずにすむことも、たくさんあると思います。

でも一方で、そういった関係が故に気を遣わないといけない場面や、断りづらいことなど、人間関係が逆に負担を生んでしまうこともあるのではないでしょうか。

【ちょいすけ】では、利用者同士や寄付提供者などが「あえてつながらない」ことで、気を遣い合うことなく、見返りも求め合わない、ゆるい支援の輪を目指しています。

 

*まずは稼働して

じっくりゆっくり検討している間にも、限界ギリギリで踏ん張っている子育て世帯が苦しんでいるかもしれない。じっくりゆっくりの慎重なサービスは既にたくさんあると思うので、【ちょいすけ】はあえて迅速に稼働させることを優先することにしています。

利用者、支援者の皆さんと一緒に、少しずつ【ちょいすけ】も成長して、より多くの子育て世帯の助っ人とになれれば幸いです。

 

私自身の動ける範囲と時間ということで、「茨城県つくばみらい市近郊」の限られた時間での活動となりますが、これをもとに、自分ならもっとうまくできるよ!うちの地域だとこういうニーズに合わせてアレンジしたよ!など、多くの方が子育て世帯に手を差し伸べるきっかけになれればこの上ないです。

まずは自分の身ひとつで出来ることから頑張ります!

 

お問い合わせ先

メール→info@sakura-mirai.com

TwitterのDM @rosamia1664

【ちょいすけ】お助け活動例

 

【ちょいすけ】の概要は下記リンク参照ください。

sakura-mirai.hatenablog.com

 

【ちょいすけ】でお受けできること

*サービス希望者の自宅で、保護者の方が別のことをしている間に、お子様と一緒に過ごす(見守る)内容

保護者が仮眠をとる、お風呂に入る、食事をする、趣味を楽しむ、ボーっとする、などの自宅内で出来ることであれば、内容は自由です。

また、保護者が1名でも在宅であれば、他の保護者が外出することも可能です。(母親が出かける間に、父親と子どもの留守番をサポートするなど)

 

*当方がご用意する施設(一般住居)にて、保護者の方が別のことをしている間に、お子様と一緒に過ごす(見守る)内容

保護者が仮眠をとる、食事をする、趣味を楽しむ、ボーっとする、ネットをする、友人と長電話をする、など、当方の施設内で出来ることであれば、内容は自由です。

 

*親子でのお出かけへの同行

買い物、散歩などに親子でお出かけされる場合に、付き添いとしてご同行します。ただし、保護者とお子様が完全に別行動をする内容はお受けできません。

 

*お電話または直接お会いして、お話を聞く

ご意見を求められる場合には回答もしますが、あくまでも一個人の価値観としてのご回答となります。

 

*簡易家事代行

無償の範囲のため、プロの家事代行ほどのサービスは行えない点はご理解ください。内容によっては、お受けできないことがあります。

 

【ちょいすけ】でお受けできないこと

*お子様を保護者から隔離して実行するような内容

保護者の方が外出し、お子様だけと一緒にお留守番をする・お出かけに同行し、保護者様の買い物中に別の遊戯施設でお子様を見守るなどはお受けできません。

 

*飲食をお子様にさせる内容

親子での飲食に立ち合うことはいたしますが、保護者が別のことをしている間にお子様に食事をさせておくなどはお受けできません。

 

*医療行為、教育指導行為など

医師や看護師ではないため、投薬や怪我の処置は行えません。また、発育訓練やリトミック、英会話などの特殊な内容の遊びを教育指導することはお受けできません。速やかな専門機関への受診などが必要であると判断した場合にはその旨を提言させていただきます。

 

*社会通念上、望ましくない行為

公序良俗に反すること、犯罪行為や著しく一般のマナーに反する行為などはお受け・立ち合いできません。そういった行為が見られる場合は、速やかにサービスを中断させていただきます。

 

*当方が金品などを負担する行為

あらかじめ当方が無償で提供すると謳っている範疇を超えた金品が必要になる行為はお受けできません。

 

お問い合わせ先

メール→info@sakura-mirai.com

TwitterのDM @rosamia1664

子育て中のあなたへ!【ちょいすけ】始めます!

鈴木個人の活動として、子育て支援のボランティアを始めます。

その名も【ちょいすけ】です。ちょいと助っ人という由来です。

きっかけとなったのは、こちらの事件。

www3.nhk.or.jp

 

判決についての個人的な意見は署名で別途行動したので割愛しますが、これは三つ子だけの問題ではないと感じています。

個人差はあれど、子育て中は本当に大変だし、親には1人でホッと一息つく間もなければ、「何かあったら自分のせい」というプレッシャーに常にさらされています。命の安全確保はもとより、健康でまっとうに育てなくては!と様々な側面から重圧として24時間365日のしかかります。

真面目に頑張るほど、辛くなり、「愛すべき我が子を育てることが辛くなる」ことへ罪悪感を持ち、自分を責めてしまう。もっと頑張っている人もいるとか、自己責任とか、色々グルグルまわって「助けて」が言えないまま苦しみの中にいる親も少なくないのではないでしょうか。

今回の事件では母親が孤軍奮闘せざるを得なかったという孤立してしまった一面もありますが、子育て中の親を孤立させないように!という援助の手やサービス、繋がりなどが返って、親を追い込んでしまうケースもあります。

行政サービスやビジネスとして成立させるサービスならではの制約や限界も多くあります。

そこで、【ちょいすけ】では繋がりがどうとか、ルールがどうとかよりも、とにかく手軽に「助けて!」と言えるような点にこだわりました。

もちろん、【ちょいすけ】も完璧なサービスではありません。でも、たくさんの選択肢があることによって、より多くの親子の手助けの可能性が広がるのではないかと考えています。

私だけの力は小さく、限られた地域の、限られたタイミングのお手伝いしか出来ないかもしれませんが、まずは自分に出来ることから始めたいと思います。

 

【対象】

未就学児とその保護者(茨城県つくばみらい市近郊)

 

【内容】

ご希望に応じ、最大1時間の「お助け活動」をします。

・仮眠をとりたいので、その間に子供を見ていてほしい

・ゆっくりとお風呂に入りたいので、その間に子供を見ていてほしい

・落ち着いてご飯が食べたいので、その間に子供を見ていてほしい

・子どもを連れて買い物に行くので、付き添って(手伝って)ほしい

・とりとめのない話をただただ聞いてほしい

・パパと子供で留守番をするけど、不安なので付き添ってほしい

・ママを1人にしてあげたいけど、その間の行き先に困るし過ごし方が不安なので助けてほしい

・家事や育児を夫婦で協力し合いたいけど、お互いに余裕がなくてうまくいかないので取り持ってほしい

・色々考える余裕もない、とにかく逃げ場がほしい

などなど。

※詳細は下記リンク参照ください。 

sakura-mirai.hatenablog.com

  

【費用】

原則無料。お気持ちをいただける場合は、現金・現物など各種の寄付をお受けします。

サービス利用者以外からの支援も受け付けます。

※詳細は下記リンク参照ください。 

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【時間】

対応可能な時間帯

平日・土曜→19時30分~21時30分

日曜→8時~18時

※日程は要事前問合せ。他の予定もあるため、【ちょいすけ】に充てられる日時は限られてしまう点はご理解ください。

 

【お問い合わせ】

メール→info@sakura-mirai.com

Twitter(@rosamia1664)にDMもOK!

 

※個人の意思によるボランティア活動のため、状況によってはお受けできないという判断をさせていただくことがありますことをご容赦ください。 

休憩も保育の質の向上のためには重要

4月からスタッフルームの移動を大決定。

現状の2部屋という間取りの賃貸物件から、3部屋+αという間取りの物件に移動する。

今の物件は園の真裏で徒歩1分未満の立地で、新しいところは徒歩3分と少し離れるので迷ったが、職員が増えることで一度に休憩をする人数が増える以上、部屋数が多くなる方を優先した。

 

さて、1人1部屋で休める環境というのは、贅沢(不必要なもの)だろうか。

費用面でも支出が生じるというデメリットだけでなく、共用のスタッフルームで過ごす方が、職員間のコミュニケーションも活性化されていいのではないか?という考え方もあるだろう。

 

その上で、これは完全に私が【基本は1人が好き】という性質が故の価値観だが、何人かで過ごすことも、1人で過ごすことも、【自由に選択が出来る】ことは大切ではないだろうか。

大勢で過ごすことが前提の部屋しか無い場合、【ちょっと休憩時間に仮眠を取りたいな】と思っても、他の職員同士がワイワイ話をしている時に「私は寝たいので」と眠れる人はそう多くはないのではないか。(出来るとしても初対面からというのは難しく、そう出来る間柄になるまでの紆余曲折期間はあるような気がしている。)

同じ場にいると、何か話した方がいいかなぁと、話しかける側もむしろ気を遣ってわざわざ話を振っているいる場合など、どちらも本音のところでは静かに寝ていたいのに、当たり障りのない話をして過ごしている・・・ということが起きていたら、それは悲しいことだ。

特に子育て中は休みの日だって家事に追われ、子どもに常に呼ばれ、慌ただしく過ごし、自分【だけ】の時間がとれない、常に疲れている、眠い、というストレス状態にある人も少なくないだろう。

寝なくとも、ただ何の目的もなくボーッとするのだっていい。携帯をなんとなくスクロールしたり、気になっていたあの動画を見たり、ツムツムをしたり、ポケモンをしたり、まぁなんでもいい。とにかく、各人が【自分だけの時間を誰にも気兼ねなく使える】ことも重要だと思っているのだ。

 

人とコミュニケーションを取るというのは、1人で過ごすよりもエネルギーを使う。

心理面でそれを本人が負担に思うか思わないかは別として、行動という点では間違い無く、ボーッと休息をとるよりも【活動】状態にあるだろう。

保育現場において、【目を離せば死ぬ】存在である子ども達を複数同時に見続け、怪我や事故の予測を常に立てながら環境構成をし、主体性を育むような声かけと応答的な対応をしつつ、発達や成長の芽をみつけて育み、体調異変に目を光らせ、泣けば抱き、臭えば替え、垂れれば拭き、あっちの小競り合いをなだめたと思えば、こっちのイヤイヤに付き合い・・・ということを絶え間なく何時間もする以上、休憩くらいは静かに1人だけで自分の思うような時間を過ごせてもいいではないか。

ということで、うちにはフィットネスジムも、オシャレな社内カフェも、保養地もないけれども、1人で広々と過ごせる休憩室の完備は、私個人としては胸を張れる福利厚生だと思っている。

 

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インプットを増やさないとアウトプットできない

4月から保育士が7名体制になる。正社員が5名(うち1名は産休)、時短社員が1名、パート1名。私も保育従事者として入るとなると、総勢8名。シフト制とはいえ、最大園児数12名の園としては、多いだろう。

収支の話でも書いたとおり、園は赤字だ。それでいて、更に人件費をかけるとは頭が悪いのか?という話に見えるかもしれない。

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上記の状態に更に2名の保育士が増えるわけだが、1名は産休育休で人件費がなくなるので、そこで支出はプラマイゼロ。

もう1名は自らの子を入園させながらの就職になるため、人件費が増えても収入も増えるので、そこまで大きくは負担が増えない。

体制が整い次第、私が現場に入らない時間を増やせそうなので、私の分の人件費を下げ、その分は園以外の業務を担って自分の稼ぎを他で上げる。

ということで、人員が増えても今よりも大幅に金銭的に困る状況ではない(という計算)になっている。

 

では、産休育休から職員が復帰して、その時点で今の人員が全員残っていたら、どうするのか?誰かを辞めさせる?まさか!人員が十分にいるならば、【保育園以外の展開で事業を充実】させていけばいいのだ。

 

例えば、リトミックに挑戦したいという保育士がいるとしよう。

資格取得には講習の定期的な受講が必要になるが、現場の人員がギリギリの状況ではそういった受講は難しくなってしまうことがある。

日曜などを活用する選択肢もあるが、子育てと仕事を両立しながら、更に休日も潰して資格取得を目指すというのは、相当にハードであり、周囲のサポート体制に恵まれていない限り難しいだろう。

では、現場の人員が十分に足りていて、受講を仕事の一環として出来たらどうだろうか?勤務時間の一部を現場に入らず受講する違いだけであり、職員としても負担なく資格取得が出来るだろう。

そこで学んだことや得たスキルを現場で活かしてもらえば、保育もより充実するだろうし、外部講師を招くよりも柔軟に保育に取り入れることができる。

 

これは何もリトミックに限らず、様々な研修や勉強など、インプット全般に言えることである。

ただでさえハードワークの保育士が、数少ない貴重な休みを潰して、更に自ら支出をしながら講習を受け、それを保育に反映して保育の質を高めなさい!と言われても、それを実践し続けられる人がどれだけいるだろうか。

保育現場に入り、それを振り返ってまた再構築して・・・という現場に関する時間も大切だが、それとは別にインプットの機会を【仕事として】設けないと、いくら保育の質の向上を!と叫んでもアウトプットできるものが増えないのである。

手持ちの武器を増やせないまま、【今まだ無い強みの実現を】と言われても、無から有を生むことは出来ない。

 

では、【仕事として】インプットできるようにするには、どうすればよいか?

・雇用する保育士を少し多めにして現場の人手が足りなくならないようにする。

・勤務時間として講習を受けられるようにする。(講習費用を負担したり、講習時間分の時給を発生させたりする。)

上記2点が必要だ。これらによって支出は明らかに増える一方だが、その後に保育の中で回収は出来るのだろうか?

 

企業主導型保育事業では、原則として補助額は園児数に応じて算出されるため、保育士を増やそうが、研修に参加しようが、プラスの補助金は無い。そうなると、保育料の値上げしかないが、基準額の保育料よりも多く保護者から徴収するには【特徴のある保育】を欠かさず実行している必要がある。

例えばリトミックを【特徴のある保育】としてしっかりとカリキュラムに導入し、その費用を保護者に負担を求めることは理屈上は出来なくない。

しかしながら、勤務先の提携園として選択する、或は認可園に入れずやむを得ず入るしかないという選択をする、という保護者が大半の状況において、【リトミックを導入するので値上げします】というのは魅力的な選択肢だろうか?

もちろん、希望する人もいるかもしれないが、3万円の保育料でもいっぱいいっぱいだという世帯があることもまた現実である。

特に、【大人にとってわかりやすい明確な成果(物)】が発生しづらく、子どもの気持ちのムラも激しい0,1,2歳のうちは、価格に見合うだけの価値があるかどうか(やりたがらないことをどこまで強制するのか、参加しなくても返金は無い)などを納得してもらうのも難しい可能性が高い。かといって、現場状況としても希望選択制をとるというのも非現実的だ。

 

ではどうするか。

リトミックなどのプラスαの要素は、【保育園】の収益での回収を目指すのではなく、【保育園以外の展開】を事業として行うことで、そちらの収益で支出を賄おうということを目指している。

これであれば、【保育】にも要素を適宜取り入れつつも、無理やり子どもにカリキュラムをこなそうとし過ぎる必要もなければ、望まない保護者に強制的に受講(費用負担)をさせる必要もないし、参加不参加の管理や金銭トラブルも起きない。

【保育】以外の場での開催とすることで、リトミックを体験してみたいと思っていても、なかなか近場で手ごろなものがない、という地域の親子の行き場を作ることもできる。

そして保育士もまた、個人事業として教室を展開したり、Wワークで複数の勤務先に雇用されたりするよりも、リスクや負担が少なく、様々に活躍をしていくことが可能になる。

仮に当園に万が一のことがあっても、それぞれの保育士のスキルが高くなっていれば、その後も【とある企業主導型に〇年勤めました】というだけよりも、選択肢の多い人生を歩めるだろう。

 

繰り返しになるが、リトミックに限らず、個人がインプットの機会を増やして成長をしてほしいのは組織としての希望でもあるが、現場業務だけで実現できることにも限りがある。しかし、個人が賄える金銭や時間の負担にも、どうしても限界がある。

ならば、組織がそれをバックアップし、更に還元する場を作っていくことは、短期的には職員のプラスに、中長期では地域や組織自体のプラスになるのではないか。

自分で時間もお金も捻出しないといけない、となると無理だと諦めがちなことも、「支援してくれるなら挑戦してみたい!」という気持ちを前向きにもち、目標や夢を保育士も抱きやすくなるのではなかろうか。

より多くの保育士が無理をし過ぎずに、様々なことをインプットする機会を得て、同時により多くのアウトプットの場や機会を得ることが出来れば、保育の質の向上として園にもプラスがありつつ、地域社会の役にも立ち、費用面もクリアしつつ多面的な戦力を持って組織としても成長が出来るという、みんなハッピーな状態を作れるのではないか。

理想論かもしれないが、非現実的というほどでもないと考えている。タイミングよく人員も充実し、実現可能な地域状況の見通しも立っているため、今年、当園はその第一歩を踏み出す。吉と出るか凶と出るか、見守っていただければと思う。

 

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保育園で毎月必要なお金の話

保育園(定員12名の小規模、企業主導型保育事業活用、茨城県)の1ヶ月の収入は220万円、支出は250万円くらいという話を以前記載した。

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今回は支出について、より詳しく記載していこうと思う。

*人件費:150万円(賞与を含めた年額を12カ月按分)

保育従事者(0歳3名につき1名、1歳6名につき1名、2歳6名につき1名、総合プラス1名などの基準の対象者)は保育士(有資格者)のほか、保育補助員も対象となっていることがある。

ただし、保育士の比率が高いほど、補助金の基準額が高くなっており、比率を下げる(無資格者の雇用が多い)場合は収入も減る。無資格者の方が賃金(支出)が下げられても、収入も下がるので、利益が残せるということはない。(不正を除く)

当園では配置基準よりも少し手厚く保育士を採用しているが、園長は2名分のシフトに入りつつ、賃金は1名分としている実態もあるため、差引ゼロ(配置基準ギリギリまで雇用を抑えても150万円くらいはかかる)だろう。

 

法定福利費:18万円

労災保険雇用保険、健康保険、厚生年金は法律の基準通りに加入となり、事業主の負担額も定められているため、カットすることは出来ない。

正社員の3/4以上勤務(週30時間以上目安)で健康保険と厚生年金に加入が義務のため、正社員1人分のシフトをパート2名で当て込むなどすれば、保険料の削減すること自体は可能ではあるが、採用面や保育の面で考えると、可能な限り正社員のシフトは正社員に勤務して担ってもらう方がいいと考えている 

 

*地代家賃:35万円

テナントの賃料のほか、駐車場代を含む。都内の場合は電車通勤も可能かと思うが、地域によっては、車ありきということも多い。駐車場は保護者が送迎時に使う分と、職員が停めておく分を借りている。

ちなみに地域の割には賃料は少し高い。マンションや戸建てが多く、2000万円しないで土地から戸建てが建てられるのがウリというチラシも多く入るエリアだが、事業用のテナントは少ないため、事業用の家賃は高い傾向に。

ちなみに、総合的な判断により、別途スタッフルーム(兼物置)の賃貸物件も用意している。これは補助金の対象にはならない(可能性が高い)ので、支出としては生じるが収入のあてがない(事業主の自腹)という状況だ。

もちろん、園内にスタッフルームがある分には、賃料補助の対象となる。ただし、そもそもとして面積に応じた補助金の上限額も細かく設定されているため、園児定員とそれに必要な床面積に対してギリギリの水準でしか補助は出ないと考えた方がいい。スタッフルーム無しとすればお金はかからないが、近隣にカフェなども無い上に、朝から神経を張り詰めながらの重労働で、心身を休める場所がないというのは酷だろう。

 

*給食、おやつ、麦茶代:15万円

給食は園内調理または専用のお弁当などの外部調理品の搬入から選択となる。搬入の場合には、専用の調理施設などの要件があり、スーパーやコンビニ商品、一般的な仕出し弁当などは不可。園内調理の場合、設備(器具、食器)などの費用もかかるほか、調理員の人件費や光熱費が別途かかる(15万円には含まれず)

また、献立は栄養計算を行って適切に毎月定め、それに基づいて調理をすることや、台帳作成など必須書類や規定が多数ある。その点を考慮して、当園は献立や各種台帳などの作成から毎日の食材配達まで総合で担ってくれるサービスを活用している。

www.taiheig.co.jp

金額だけを考えると、園で献立作成から食材購入まで行う方がもう少し安く出来る可能性もあるが、人的負担や管理負担なども多くなることから、上記サービスを利用する方が総合的に効率的だと判断をした次第だ。

出来立ての手作り給食、手作りおやつは園児にも好評で、個人的にはお弁当よりは園内調理をお勧めしたい。

 

水道光熱費:6万円

調理はIHのため、電気を使用。夏はエアコン(冷房)で電気代がかかる。床暖房はガスを使用しているので、冬はガス代がかかる。

水道は手洗いやトイレのほか、調理、洗濯、水遊びや動植物に使用。

いずれも必要以上に無駄遣いをしないようには気を付けているが、保育の充実や安全(健康)管理を差し置いてまですべきことではないので、無理に削減しすぎないようにとしている。

 

*通信費:2万円

ランニングでかかっているのは固定電話(FAX)とネット、スマホ2台、ガラケー2台。園長のスマホ以外は、通話のみでの契約。スマホiPadは園内のWi-Fi接続でネットを使用している。

保育業界に参入して驚いたのはFAX使用率の高さだ。保育関連の業者もFAXでのやり取りが前提のところが多い。せめて業者はメールも対応してほしいなぁと思うことがある。

 

*園管理システム:1万5000円

行政提出の書類関係や、園児の管理(連絡帳、登降園管理)で使用。www.codmon.com

1月から上記に移行し、職員の出退勤管理やお昼寝時のチェックなども全て一元管理が実現した。

 

*衛生用品:1万2000円

空気清浄機2台と玄関マット、モップをレンタルで使用。ちなみにダスキン

レンタルでなく購入にすればランニングコストが減るのでは?という考え方もあるだろうが、その場合は管理を自分達でしなくてはならない。保育士が空気清浄機のフィルター交換だの、マットやモップを洗って乾かして・・・という手間をかけるのは違うと思っているし、私も全体のバランスを考えるとそこまで手が回らないので、外注する方が効率の良いことは外注としている。

 

*警備システム:1万2000円

24時間録画の防犯カメラを室内2か所に設置。不審者対策だけでなく、万が一の園児の事故発生時の検証にも使用する。加えて、非常ボタン(警備会社と警察に通報できるもの)を2か所に設置。夜間警備のほか、裏口は電子錠で管理している。

安心安全代として削減しない方がいい部分だと考えている。ちなみにSECOM。

 

*検便代:1万円

食中毒や集団感染の防止のため、給食の調理員だけでなく、食事の介助をする職員は全員に毎月1回の検便が義務付けられている。

検査代は安いと1人あたり500円~あるが、1ヶ月の利用職員数に応じるほか、キットの送付方法や送付費用などもあるため、園規模と利便性に応じた会社の検討が必要。

当園はコチラにお願いしていて、対応も早く丁寧で助かっている。

www.morewell.co.jp

正社員も週休3日制ということで、なかなか全員が揃わないほか、子持ち職員が殆どなので急な欠勤リスクも高い。そうなると園で指定日に回収して送って、というのが難しいことがあるので、各人が上記に直送(送付状況管理は先方がしてくれる)という形で、少しだけ1人あたりの値段が高い。

 

*ネット関係:1万円

LINEWORKSを職員の連絡ツールとして使用。職員毎に料金が発生するが、プライベートのLINEの使用は個人情報保護や労務問題の観点から望ましくないと判断。

HPはワードプレスで自作しているので、その点は無料。ドメインやサーバー代は発生。

 

*消耗品:10万円

教材費や研究費(保育士のスキルアップのための書籍代など)、玩具や文房具、動植物の育成にかかるもの、清掃用品などなど。開園からまだ歴が浅いため、少しここの額が大きいかと思う。一度買ったら長く使えるものもあるため、もう少し削減できるかなとは思っている。

 

*利息:2万5000円

開園時の借り入れの利息。あと5年ちょっとでなくなる予定。頑張ろう。

 

*その他:5万円

車両費(買い出しなどに車が必須の地域。いざという時に園児を病院などに連れて行くのにも必要。)や各種専門家への相談料(顧問料)、福利厚生費など。高額な支出のための積み立てや採用費などに充てることもある。

 

ざっとこんな感じだ。いかがだろうか?お金が無いなら、こんなに支出をしない工夫をすれば?と思う人もいるかもしれないが、規定上必要な内容が大半なほか、適正に保育をしつつ保育士が疲弊しない環境を維持するには必要な経費も多い。それをカットすると、結果的に保育士の労働が増える=人件費増、というだけだ。

これを人件費として適正に払わないブラックが蔓延しているが故に、支出が減るから買わずに保育士が作ればいい!とか、IT化するとお金がかかるから手書きで十分!とか、変な方に経費削減が向かってしまっているケースもある。

廃材で試行錯誤して教材を作る人件費より、ダイソーでちゃっと用意してしまう方が安いということはないか?「昔は全部手作りした」という人もいるが、昔はダイソーが無かったり、一般消費者として入手できる商品の種類が少なかったりしたからではないのだろうか?

確かに、保育専門用品は高い。でも、安い値段で様々な商品を入手しやすくなった今の時代、代替品を安く買えることも多い。見た目には支出でも、同じく支出であるはずの正当な人件費と天秤にかける場合には、買った方が安いということは少なくないのではないか。

ということで、上記の支出について、無駄遣いをしないような気持ちは持ちつつも、必要以上に締め上げていく気はなく、しかも欲を言えば、人件費はもう少し払えるようになりたいと考えている。理想は高く!!!

 

質問はコチラへ↓

peing.net

園のHPはコチラから↓

sakura-mirai.com

気持ちはお金を添えて見える化する

当園には臨時勤務加算という制度がある。

これは、所定労働時間内の勤務であっても、事前に提示したシフトから変更が生じている場合に、当該時間に関しては時間単価×0.25倍額の手当を追加で支払うというものだ。

残業代(時間外手当)は1.25倍の賃金支給のため、この0.25倍部分を、残業(時間外)に該当しない場合も加算しようということである。

そもそもとして、当園では残業がないように運営している、というのは以前記載したとおり。

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それでも、急な保護者の都合や他の職員の都合により、どうしても勤務時間のスライド調整(30分早く出勤して30分早く帰るなど)や、当初のシフトからの変更(1日出勤を半日出勤×2日に変更)など、【予定が変更になる】ケースが稀に存在する。

この場合【労働時間】は同一になるように調整をすることは、長時間労働(残業や休日出勤)の常態化を防ぐために必須としているが、【だから残業代はいらないね】で終わりにするのは、なんとなく個人的にもやっとするのだ。

 

というのも、シフト希望提出時には、公的な行事など以外はなるべく仕事を優先し、シフトが確定してから個人の予定を入れるような協力を全員がしてくれている。

その状況で、確定したシフトから更に変更がかかるというのは、個人の予定の再調整も余儀なくされるケースが多いと言える。

具体的な用事の有無に関わらず、「早出になる⇒起きる時間を早める必要が生じる⇒その分早く寝ておこう⇒前夜にやっておきたい家事の一部ができない」など、ちょっとした日常のサイクルの変更も発生してしまう。そして特に子育て中は、日常のサイクルの変動は大きな負担となることも少なくないので、子育てと仕事の両立への支援をしたいという面でも、こういった負担は無視できない。

 

以上から、例え労働時間は同一だとしても、個人の時間にしわ寄せの起きる事象があるのであれば、その協力に対しての感謝はお金で見える化をしよう、と考えている次第だ。

おそらくどの職員も追加でお金が払われなくとも、臨時の勤務調整に協力してくれるだろう。しかし、現実的に負担が発生する以上、1回1回は小さな負担感であっても、積み上げによって「仕事がつらい」となる可能性も否めないだろう。

お金が全てではないが、労働の対価として給与を受け取り、それによって生活や様々な活動をするという社会の仕組みがある以上、労働に関して事業者側の都合により発生している負担に対しては、少しでもお金で還元して、勤務調整への感謝は具体的に見える化をしたいと考えている。

 

また、もう1つの観点として、調整をお願いする側の負担も少しでも減らしたい気持ちもある。

かつて、子の病気で急な欠勤になった保育士が「申し訳ありません」と休み明けに立派な菓子折りを持参したことがあり、衝撃を受けた。

子の病気は誰のせいでもないし、幼少期にそういうケースが多くあるのは当然のこと。子の看病期間も大変な中、病み上がりにわざわざ菓子折りを買いに行く負担も、欠勤分はお給料も減ってしまうにもかかわらず、さらに菓子折り台を負担する金銭的な負担も、どれも、する必要は全くないと考えている。

事情を聞くと「前の園ではそういうルールだったので」というのでさらに驚いた。こういったことを慣習にすると、お互いに気を遣いあって疲弊してしまう。もし保育業界あるあるなのだとしたら、そんなあるあるは無くなってほしい。

かりに臨時勤務で負担がかかる職員が発生する場合、その対価は事業所が払うのだから、個人で必要以上に心理的にも金銭的にも負担を負わないようにしているとも説明を改めて行い、もし他の職員に申し訳ないとか感謝してくれるなら、その気持ちは菓子折りにせず、覚えておいて、次の誰かの時に「お互い様」と快く引き受けてくれればとお願いしている。

 

仮に時間単価が1200円として、30分の調整が発生した場合、臨時勤務加算は150円。「助かった、ありがとう!」とちょっと飲み物やお菓子など添えるような感覚だ。

勤務調整をしてくれる人の負担感を150円だけで解消できるとは思っていないし、お金が全てでもないが、それでも何もないよりは、少額でも手当がつく方が少しは気持ちも救われるのではと思っている。

もちろん、加算を払うんだからいいだろう、ではなく、感謝の気持ちは気持ちとしてしっかりと持ち続け、職員が気持ちよく働ける環境作りを心掛けていきたい。

  

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